自由が丘クーゲ

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クリエイティブディレクター

藤縄智子 最近、折に触れ、伝えたい、理解してほしい、と願い続けていることをお話しさせていただきます。
それは、ダイアモンドについての、日本の多くの人の思い込みや、固定概念。間違っている(と私が感じている)こだわりについてです。ダイアモンドを買われる時に、クラリティやカラーやカットについての、にわか仕込みの知識を重視するあまり、それにしばられ、結果、小さくて高額なダイアモンドを選んでいることが、良いダイアモンドを購入しているとは言いきれないという話です。
誤解を恐れずに言わせていただくと、ダイアモンドは「大きさ」に価値があります(とあえて私はここで断言してしまいます)。
大きなダイアモンドだからこそ、次世代に受け継がせたい家宝になり、一生の心の友になるのです。欧米の女性の常識では、国によっては、1カラット以下のダイアモンドなら買わない、欲しくない、という意見の持ち主が圧倒的多数という事実や常識もあります。

日本人の、クラリティやカラーに対する偏屈なほどの拘泥を捨てさえすれば、ダイアモンドを見極められる眼を持った信頼できる宝石店やジュエリーデザイナーにオーダーして2~3週間も待てば、1カラットの大きさの、十分に魅力的に輝く、感動的なクオリティの美しいダイアモンド指輪が70万円でも手に入る可能性はあります。
それがVVS1のDカラーであるかどうかが重要なのではなく、確かに自分や人々の目に十分に美しく輝くクオリティかどうかが重要なのです。私には、そのようにお任せいただいているオーダーのお客さまが、自由が丘と軽井沢に数十名ほどいて、その方々の満足感が仕事のやりがいになっています。
人生で初めて訪れた店先で、クラリティやカラーにこだわり、そこを追求して手に入れた、0.5カラットのものと、その2倍近くも大きなダイアモンドは大きくはわらない価格で手に入るのです。もちろん、同じ1カラットでも、より多くの予算があれば、さらに輝く良質の物が得られることになりますし、品質バランスの良い、2カラット3カラットを手に入れることも女、一生の夢というほど非現実的なことではありません。

藤縄智子 ケリーバッグを持ち、シャネルを着ることのできるクラスの女性の指や胸もとに、1カラット、2カラットのダイアモンドの指輪が当たり前のように存在することが、日本のジュエリーのスタンダードが変わっていくことだと考えています。

世の中には、ダイアモンドと名さえつけば良い、と、10万円20万円という不適合な価格で粗悪な1カラットダイアモンドを売る店もありますが、それは、とても、心ひかれると言えるような代物ではありません。そのような、程度の良くないダイアモンドを身につけるくらいなら、10万円で、アクアマリンやサファイアのジュエリーを手に入れた方がはるかに個性的で素敵なことです。
宝石はプラスにもマイナスにもパワーを持っています。質の悪いダイアモンドを身につけていたら、素敵に見えるどころか、清潔感に欠け、貧相でつらそうな印象さえ与えかねません。

大きなダイアモンドが持つパワー。それを所有すること、身につけることで、湧いてくる高揚感、さらに、安らぎや落ち着をもたらす心からの満足感。それは、そのダイアモンドが、自分が燃焼してきた人生の時間の結晶と感じるからかもしれません。年輪の美しさ。若い時から仕事をし続けて、40歳、50歳以上になった、知性的な深い表情を持った魅力的な女性が多い今の時代です。そういう世代、そういう女性に、1カラット2カラットの指輪、或いはペンダントでも、イヤリングでも本当によく似合います。手や首の素肌に年齢の表情が出てくることを、私は夢にも老化と感じたことがありません。ようやく、大きなダイアモンドの似合う年齢が訪れたのだということです。

年に5、6度の、ジュエリー素材を買いつける海外出張から家に帰り着いた私は、いつも昏々と10時間ほども眠り続けてしまいます。そうしないと、とても買いつけに要した極限に近い集中力や緊張感からの回復にはこぎつけられないからです。
その収穫の、世界各地から集まってきた色とりどりの宝石や真珠を目の前に拡げて整理をする時の興奮を重ねていくうち、いつしか宝石の美しさの虜になっていました。宝石には、結晶して宝石になるまでの何千年、何万年という長い時間を封じ込めているという重厚さがあります。最近はイミテーション素材の進歩が著しく、ちょっと見ではわからないほどの出来に驚かされますが、どんなに技術が進歩しようが、それは、本物を凌駕するどころか、肩さえも並べられない、本物には、圧倒的な存在感と格調が漂っているものです。
また、本物を身につけた人だけに与えられる美しさがある、としか、ほかにうまく説明のしようがない、本物が女性に与える美のマジックとでもいうべき光景も何度も見て実感しています。

藤縄航樹 私にとって、クーゲのコンセプトメーカーである母に対して、今やもう母と呼べる感覚はあまりなくなっています。
クーゲのものづくりにおいて、アシスタントたちにクーゲの世界についての指針を与え続け、創作のインスピレーションを、繊細で巧みな言語でチーム全体に理解させるリーダー、と言った方がずっと胸に落ちる存在です。感性や想念や夢を、言葉や目に見えるものにアウトプットし、納得、感服させてくれる人を、私は今まで他に出会ったことがありません。
その朗らかさや、屈託のなさ、清濁何もかもを包み込んでゆるす大きさや広さは、クーゲ全体を包み込み、クーゲの宇宙を作っています。

『プロフェッショナルたれ』、とは、常日ごろ、繰り返し刷りこまれる、クーゲの朝礼での掛け声ですが、私のプロフェッショナルとしてのささやかな自負の在りかは、素材買いつけの眼と、お客様のためのジュエリーアドバイスにあります。
つまり、お似合いになるものを選んで差し上げられる「目」です。
20代のお客様でも70代の方でも、お似合いになるジュエリーの色や種類に、年齢は全く関係がありません。赤いルビーが似合う方は、たぶん幼いころからルビーのような個性だったろうと想像されますし、大粒でつややかなゴールドの南洋真珠の似合う方には、この真珠がその方を待っていたとしか思えないような調和を目の前で見せてもらえるものです。
ターコイズのような南欧的な華やかさを持った女性も、グリーントルマリンのように神秘的でクールな女性も、宝石の数と同じだけ女性の美しい個性はあると思います。
自分の個性に良く似合い、人の個性と宝石の個性が出会って融合して醸し出す美しさ、そういうジュエリーを作りお選びしていきたいと思います。


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